ARTTaro Kiguma
香川県・直島の直島新美術館は2026年度の冬の一部展示替えとして、2026年12月12日から今津景とバグース・パンデガの展覧会「Currents without Anchors(錨なき流れ)」を開催する。本展は、2026年度のシーズン・テーマ「循環・回帰・再生」に基づく展示替えとして企画された。インドネシアのバンドンを拠点に活動する画家・今津景(1980年山口県生まれ)と、メディア・アーティストのバグース・パンデガ(1985年ジャカルタ生まれ)が共同で開催する、美術館での初の本格的な展覧会となる。

今津景&バグース・パンデガによる展⽰シミュレーション画像
瀬戸内とインドネシアという海に囲まれた島々のつながりに着想を得た本展では、海をめぐる資源の移動や欲望の拡張、災害や戦争の記憶を、「流れ」「浄化と保存」「破壊と再生」といった概念を通して作品化する。会場では、波のように変化する光、大量の流木、大画面の絵画、音を奏でる彫刻や自然素材が呼応し、展覧会の空間全体がひとつの呼吸する巨大な生命体のように構成される。展示は2028年中まで予定されている。

バグース・パンデガ《Leach》(部分)2026年

今津景《⿊潮》2026年 サイズ 310x1600cm キャンバスに油彩
「Currents without Anchors(錨なき流れ)」は、絵画、機械、植物、⽔、銅、光、⾳が互いに反応しながら、ひとつの呼吸する⽣態系のように循環するインスタレーションです。
ここで「current」は、海流、⽔流、電 流、情報の流れ、そして私たちが⽣きる「現在」という複数の意味を持ちます。今津の巨⼤な絵画に描かれる海底の沈没船は、かつて戦争や資源輸送のために使われた⼈⼯物でありながら、現在では珊瑚や⿂の住まう⽣態系となり、ダイビングスポットへと変化しています。⼀⽅で、⽯油燃料や防錆の銅塗料、⾦属などは戦争の残骸として海洋環境に作⽤し続けてもいます。⾃然は⼈間の歴史を消去するのではなく、その痕跡を取り込みながら別の⽣態系へと変えていきます。パンデガの銅メッキ装置では直島で⻑く産業として扱われてきた銅が電気によって移動し続け、その反応が頭上の海 に浮かぶ⽊々の光の明滅へと変換されます。海と陸の合間である汽⽔域を住処とするマングローブの⽣体信号は⾳や映像を動かし、植物そのものが作品を変化させる主体となります。⼈間はこのシステムを 設計することはできても、完全に⽀配することはできません。
「current」は⼈間と⾃然を対⽴するものとして捉えるのではなく、⼈間の歴史、戦争、テクノロジー、鉱物、植物、海がすべて同じ巨⼤な循環の内部にあることを⽰しています。直島とインドネシアを結ぶ 海の上で、過去は終わることなく、物質と⽣命を通して現在の中を流れ続けています。
展覧会初日の12月12日は、12:00から一般開館となる(10:00〜12:00は臨時休館)。当日は13:00から館長の三木あき子による展示紹介のほか、14:00からは作家両名によるトークイベント(英日逐次通訳あり)、15:00からは岡﨑乾二郎とぱくきょんみによるトーク&朗読会などの特別プログラムが無料(当日の鑑賞チケットが必要)で開催される。
直島新美術館 ⾹川県⾹川郡直島町 3299-73
開館時間:10:00~16:30(最終入館16:00)
月休(ただし、祝日の場合開館、翌日休館)※不定休あり。ベネッセアートサイト直島ウェブサイト開館カレンダーにて随時更新。
※本展はギャラリー1の展示替えであり、他の展示は引き続き継続展示される。