INTERIORTaro Kiguma
フロスジャパンは2026年11月1日より、トビア・スカルパのデザインを復刻した「Seki-Han(セキハン)」を発売する。1963年にデザインされ1966年まで同社のカタログに掲載されていた伝説的な照明が、現代の技術と仕様によって復刻される。

フロアランプ「Seki-Han F」396,000円。全高1850mm、ベース∅290mm。©Robert Rieger
「Seki-Han」は、筒状の光源を2枚の垂直な木製ブレードで挟み込み、クロームメッキの金具で接続した構造が特徴だ。木の温もりを感じさせる柔らかく対称的な間接光を放つ。プロダクト名は、日本の伝統的な祝い事の料理である「赤飯」に由来している。
今回の復刻にあたり、デザイナーであるトビア・スカルパとの協働により大幅な進化を遂げた。オリジナル版では固定されていた木製ブレードが光源を中心に回転・可動できるようになり、光の開口角度や強さを自由に調整可能となった。木材は経年変化による変形を防ぐ特殊な熱処理を施したアッシュ材を採用し、高度なCNCフライス加工によりシャープな造形を実現している。また、ベースのデザインも見直された。オリジナルでは漆塗りの木製キャップが被せられていたのに対し、復刻版では黒色塗装の鋼製ベースを採用している。さらに全高は140cmから185cmへ変更され、プロポーションは一新された。光源にはフロスが専用に開発した温かみのある直管LEDを採用。オリジナルの蛍光管を置き換えて、調光機能も備えた。360度均一な光を照射することで、新たな可動機構の魅力を最大限に引き出している。
ラインナップは、黒色塗装の鋼製ベースで浮遊感を演出したフロアランプ「Seki-Han F」と、水平吊り下げ式のペンダントランプ「Seki-Han S」の2種類。
トビア・スカルパは、妻のアフラとともに1962年のフロス創業期から1990年代まで同社の歴史を支える中心的存在として活躍してきた。フロスの創業者セルジオ・ガンディーニ、そして息子のピエロ・ガンディーニとの長年に渡るクリエイティブな交流を通じて製造プロセスや素材・技術を熟知し、既成概念にとらわれない独創的なプロダクトを約30点生み出してきた。デビュー作の「ファンタズマ」ではコクーンと呼ばれる樹脂をスプレーする技法を用いて造形し、1枚の鋼板を折ったシンプルなウォールランプ「フォリオ」や大理石を削り出した「ビアジオ」、1990年に発表されたテーブルランプ「ピエロ」に至るまでトレンドに左右されることなく、本質的かつ革新的な素材の使い方や最新のイノベーションを積極的に取り入れてきた。
「私にとって人工の光とは、人生のあらゆる場面で一歩踏み出すたびにつまずき、絶えず変化し続けるものです。しかし、それこそが光の醍醐味なのです。光は遊びの場なのです」とトビア・スカルパは語る。

ペンダントランプ「Seki-Han S」396,000円。幅1692mm、フランジ∅132mm。©Gianluca Bellomo