
INTERIORTaro Kiguma
デンマークのデザインブランド「GUBI(グビ)」は、イタリアのガラス工芸とモダンなデザインの融合を象徴する照明「Lotus Table Lamp(ロータス・テーブル・ランプ)」の復刻を発表した。発売は2026年10月中旬を予定している。
「ロータス・テーブル・ランプ」は、ムラーノガラスの巨匠カルロ・ナーソン(Carlo Nason 1935–2026)によって1969年に発表された。当初は「LT305」という型番でリリースされ、多層的なデザインが蓮の花の開花を想起させることから、コレクターたちによって「ロータス(蓮)」の愛称で呼ばれるようになった。しかし、当初の製造期間はわずか数年間に留まり、その後生産が途絶えていた。そのため、ヴィンテージ市場やコレクターの間で非常に稀少性が高く、幻の名作として語り継がれてきた。今回の復刻は半世紀以上の時を経て、名作に注目する貴重なプロジェクトとなる。

デザイナーのカルロ・ナーソンは、ヴェネツィア・ムラーノ島の歴史あるガラス職人の家系に生まれた。ムラーノに伝わる伝統的な装飾に頼るのではなく、イタリアで芽吹き始めていたインダストリアルデザインの潮流や北欧モダニズム、スペースエイジの未来的な要素を取り入れた独自のアプローチで、ガラス照明の新たな可能性を切り拓いた人物だ。
「ロータス・テーブル・ランプ」最大の魅力は、同心円状に重ねられた4層の吹きガラス構造にある。ブラッククローム仕上げの金属ベースに対し、サイズと形状が異なる4つのガラスシェードが内側から順にセットされている。さらにガラスには、1920年代にムラーノで開発された「プリーゴゾ(pulegoso)」と呼ばれる伝統技法を採用。職人がガラス内部に微細な気泡を意図的に封じ込めることで、半透明の独特な質感を生み出している。消灯時には美しいオブジェとして存在感を放ち、点灯時には光が気泡と重なり合ったガラス層を透過することで、光源を感じさせない柔らかく幻想的な光を空間にもたらす。

「ロータス・テーブル・ランプ」5,499USD。日本発売未定。高さ 42cm、最大直径 47cm、ベース直径 17cm、コード 200cm。
今回の復刻にあたり、オリジナルのデザインや詩的で美しい雰囲気は忠実に継承されつつ、構造面でのアップデートが図られた。電球を保持しシェードを支える内部の金属フレームを再設計することで、プロダクトとしての安定性を向上。組み立てや分解が容易になり、日常の手入れやメンテナンスの利便性が大幅に高められている。職人の手吹きによって作られるため、ガラスの厚みや曲線の描くライン、気泡の入り方には一つとして同じものが存在しない。量産品でありながら、アートピースのような個体差を楽しめるのも魅力の一つだ。
「カルロ・ナーソンの仕事はプロダクトデザインというより、アートピース制作に近いと思います。ロータス・テーブル・ランプは、その本質を明確に示しています。彫刻のようなフォルムはアイコニックで、スケール感も圧巻。時代に左右されない佇まいで、空間に濃密で詩的な気配をもたらしてくれます」(GUBI CEO マリー・クリスティーネ・シュミット)
「ロータス・テーブル・ランプ」は、照明器具の枠を超え、構造・フォルム・上質な発光が見事に調和した「光の彫刻」として、現代のインテリア空間に洗練された温もりを与える。
