
INTERIORTomomi Nagayama
ヴィトラがジャン・プルーヴェがデザインした「アントニー チェア」のリミテッドエディションを2026年10月1日に発売した。背もたれと座面にブラックステイン仕上げのヨーロッパ産チェスナット材を使い、金属フレームのディープブラックと合わせた特別モデルだ。生産は世界1,000脚限定で、すべてにシリアルナンバーが付く。

ブラックで統一することで座面の曲線とフレームの構造がシルエットとして浮かび上がる。「アントニー リミテッド エディション 2026」352,000円。
「アントニー チェア」は1950年代初頭、パリ近郊のアントニーに計画された大学都市の学生寮のためにデザインされた。当時ヨーロッパ最大だったこの学生寮の150室分の家具を決めるコンペティションで、プルーヴェの工場「アトリエ ジャン・プルーヴェ」が勝ち、製造が始まったという。頑丈で個性的なこの椅子は、その後オフィスや待合室、リビングルームへと使われる場を広げていった。金属チューブの脚が全体を支え、2枚のブラケットが成形合板の座面の曲線に沿う。この構造は同じくプルーヴェによる「コンパス ディレクション」テーブルとよく似ている。
ヴィトラにとっても特別な一脚だ。プルーヴェの比較的後期のデザインであるこの椅子は、ヴィトラ デザイン ミュージアムのコレクションに最初に加わった椅子でもある。1980年代にヴィトラの現・名誉会長ロルフ・フェルバウムがプルーヴェ作品の収集と研究を始めたのは、パリで出合ったヴィンテージの「アントニー チェア」がきっかけだった。ヴィトラは1999年にプルーヴェ ファミリーとの話し合いを経て、全プルーヴェ製品の復刻と製造販売の権利を得て、2000年から製造・販売を続けている。

背もたれと座面にブラックステイン仕上げのヨーロッパ産のチェスナット材、フレームにディープブラックのベースを使用。
昨年はパイン材の座面に「海賊の赤」を意味する「Rouge Corsaire(ルージュ コルセール)」のフレームを合わせたリミテッドエディションを、Vitra Online Shopとプレミアムパートナー限定で発売した。今年のモデルは一転して全体を黒で統一。色を抑えたことで、座面の曲線とフレームの構造がシルエットとしてくっきりと浮かび上がる。Vitra Online Shopのほか、ヴィトラ プレミアム パートナー ショップ、ヴィトラ パートナー ショップ、一部のオンラインストアで発売中。