
INTERIORTaro Kiguma
IXCは、デンマーク・コペンハーゲンで6月10〜12日に開催された「3daysofdesign2026」にてヴィコ・マジストレッティによるラウンジチェア「OZU」などを発表した。
IXCは、コペンハーゲンを拠点とするデザインメディア「Ark Journal」の企画展「DESIGN / DIALOGUE」に参加。会場となったのは、デンマーク最古の芸術家協会「デン・フリー・ウドスティリング」が所有する歴史ある名建築だ。これがIXCにとって、リブランディング後初の海外プレゼンテーションとなった。

会場となった「デン・フリー(Den Frie)」は、1898年建築の木造建築。1913年に現在の場所に移築され、近年、地下にカフェなどが増築されている。
1980年代半ばに構想されながらも生産には至らなかった、ヴィコ・マジストレッティによるラウンジチェア。それがガムフラテージの手によって、今回「OZU」として製品化された。マジストレッティがIXCの創業者・武藤重遠氏に渡したスケッチやプロトタイプを元に、ガムフラテージが現代的な視点を交えて開発。カンチレバー構造のスチールフレームに、厚手のブランケットをまとわせたかのような、極めてシンプルな構造が特徴だ。

「OZU」W950 × D770 × H740 (SH410) 2026年秋発売予定(価格未定)。ほかにオットマンも。
「構造体の上に、ブランケットをふわっと無造作に掛けたようなデザイン。これほど年月が流れているにもかかわらず、今なお新鮮で、非常にモダンだと感じます。マジストレッティが生前よく口にしていた、こんな言葉があります。『優れたデザインとは、写真や図面がなくとも、言葉だけで相手に説明できなければならない』。このラウンジチェアは、まさにその哲学を体現する最たる例でしょう。もし私があなたに『良いアイデアを思いついた。椅子の上にブランケットをふわりと掛けたような、すごく柔らかい椅子なんだ』と電話で伝えたなら、あなたの頭の中にはすぐさまその姿が浮かぶはずです。これこそが、彼のような巨匠の凄み。そして極めてコンセプチュアルです」(ガムフラテージ)

「OZU」という名前は、マジストレッティが日本の映画監督の小津安二郎の作品を心から賞賛していたことから名付けたものだ。この写真も北鎌倉の旧小津邸で撮影された。
「『OZU』には非常に大きなスケッチが1枚と、プロトタイプが1つ残されていただけでした。私たちはマジストレッティのデザインを心から深くリスペクトして、できる限りオリジナルの思想を維持することに努めました。クッションの仕様などには多少の変更を加え、現代の技術を用いて快適な座り心地になるようにデザインし、量産化しました」(ガムフラテージ)
会場では、ブークレ生地を纏った『OZU』が展示されていて、構造体がふわっとブランケットを纏っているかのようなコンセプチュアルなデザインをより強調していた。
「このラウンジチェアは、ヴィコのデザイン自体が『構造の上に生地を1枚、レイヤーとしてまとわせている』という素晴らしい設計になっているため、さまざまなテキスタイルと合わせやすく、無数の可能性を秘めています。ブークレは非常にコンテンポラリーなファブリックです。今回、白いブークレでプレゼンテーションを行ったのは、このテキスタイルの質感によって、デザインコンセプトが視覚的に一番伝わりやすいと考えたからです。また、レザーのバージョンも非常にモダンで美しい仕上がりになっています。選んだ素材によって、まったく異なる表情を見せてくれます」(ガムフラテージ)

「AIR FRAME 3016 SOFT」ソファ 1人掛 W830×D710×H670 2026年6月発売。495,000円〜。
IXCの人気シリーズ、建築家デヴィッド・チッパーフィールドによる「AIR FRAME」の新ソファも披露された。1992年のシリーズ発売以来、オフィス空間などで支持を得てきた「AIR FRAME」シリーズはアルミニウムのハニカムパネルを採用、薄いパネルで構築したシャープなデザインが特徴だ。「AIR FRAME 3016 SOFT」ソファは、ポリウレタンフォームのクッションがやさしく身体を包み込んでくれるようなデザイン。構造となっているシャープなアルミニウムのハニカムパネルとのコントラストが美しい。

会場では倉俣史朗による「HAL2 チェア」のブークレ生地を張ったクッション仕様も展示されていた。オリジナルのOSBボード仕様と比べて、ソフトな印象で座った時の快適性も向上している。
また会場で、ガムフラテージは自身と3daysofdesignはとても密接な関係にあると語った。
「ミラノなど他の都市のデザインイベントに比べて、3daysofdesignにはカジュアルでリラックスした雰囲気がありますね。始まった当初は、参加企業がわずか10社ほどの本当に小さなイベントでした。しかし今では、すっかり国際的なデザインイベントへと成長を遂げています。スカンジナビアのブランドだけでなく、数多くの海外企業が参加するようになりました。実は私たち、このイベントが始まって以来、一度も欠席したことがないんですよ。初期からこのイベントをサポートしてきました。ロゴや初期のポスターのデザインを手掛けたのも私たちですし、イベントを軌道に乗せるためにサポートしてきました。大きく成長したことをとても誇りに思っています」(ガムフラテージ)
IXCが重んじる、日本の繊細なものづくりと高い品質へのこだわり。そして、デザインの力を信じ、早くから国際的な巨匠たちと協業を重ねてきたブランドの歴史。それらをモダンにアップデートしたガムフラテージによるリブランディングの成果が、見事に可視化されていた。IXCの海外デビューを飾るにふさわしい、堂々たる展示だった。
お問い合わせ:カッシーナ・イクスシー青山本店 Tel.03-5474-9001